Kohei Matsumura


WHILE THE CROW WEEPS

Photography & Writer : Kohei Matsumura

Music : Nobukazu Takemura

Animation & Director : Makiko Sukikara

2013

NTSC 16:9 (1080p High Definition)

Color, Stereo

8min.

 

The furtherance : Japan Arts Council

© sukimaki animation

While The Crow Weeps

Everything is covered in fog before dawn, the funeral is taken place by crows. Through the ceremony, they calm the dead down and take over the memories spiritually. This is an old tradition in the world of crows, what is out of mythology or ecology. Crows have been the symbol of wisdom since ancient. I heard there are a lot of things that cannot be explained the ecology of crows, because of their high intelligence and learning ability. They often circle around above the dead, collect shiny objects profusely, and sometimes peck dead flesh of the same kind. Their world without words transcends human intellect. This film aims to know pure will and instinct of living things. In their environment, they find alive in the death. Life and death complement each other and have "principe de participation" for them. Among the primitive life of ecological chain, it's permanently going on that inheritance of life. When we watch their attitude to life, our notion of taboo like cannibalism is meaningless. Mysterious behavior of crows make us to show savage hallucination. I hope that "While the crow weeps" reaches your pathos beyond the words and ideas.

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夜明け前、 霧が深く立ちこめる時、 カラスの弔いが行われるという。 彼らは葬送の儀式によって、亡きものの魂を鎮め、記憶を共有するための霊的な交換を行う。 これは数ある神話からも、生態学からも抜け落ちた、カラスの世界に伝わる慣習である。 カラスは古代より、知恵を象徴する動物として描かれてきた。 知能、学習能力の高い彼らの行動は、未だに謎を秘めた部分が多いと聞く。 彼らはごく稀に、仲間の死骸の上を旋回するように飛行し、 矢鱈と光るものばかりを蒐集し、時には仲間の死肉を啄むこともあるという。 言葉をもたない彼らの世界、それは筆舌では汲み尽くすことの出来ない、人智を越えた領域のものだ。 この作品は、動物たちの「生きる」ことに対する、澱みのない意志や本能に接近するための試みである。 生物の世界では、生は常に死を内包し、死の中に生の在り方が見いだされる。 彼らにとって、生と死は分け隔てられたものではなく、相補的なものであり、融即の関係にある。 食性連鎖というプリミティブな営みの中で、平衡を保ち永続的に行われる生命の交換と継承。 彼らが懸命に生命を紡いでいく前では、カニバリズムのような、我々ヒトが禁忌と見なす観念も無力だ。 監督を依頼したアニメーション作家の鋤柄真希子さんは、 マルチプレーンを使用する、現在では稀少な作家のひとりである。 私が作成した脚本をもとに、鋤柄さんにレイアウトと作画を仕上げてもらい、 二人で撮影に臨むというスタイルで映像制作を行った。 クライマックスの1シーンを撮るために、それはわずか15秒にも満たない、 素材の準備だけで一ヶ月を要するなど、粘り強く誠実に作品に向かい合って頂いた。 アニメーションがおおよそ組み上がった段階で、音楽家の竹村延和さんに音入れをお願いした。 我々は絵コンテ、ト書、言葉に基づいたやりとりを極力控え、 映像と音による対話を重ねることで作品を完成させた。 失礼ながら、竹村さんに絵コンテをお渡ししたのは、作品が完成した後だ。 映像からのインスピレーションだけで創作された音楽は、 竹村さんの新たな解釈も加わり、作品の世界観にさらなる広がりを与えている。 カラスたちの日常に潜む神秘的な行動は、我々を未開の幻想へと向かわせる。 この作品が、言葉や思想を越えて、個々人の秘めるPathosに届くことを願ってやまない。 2013年4月1日 松村康平

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© Kohei Matsumura